ビタミン発見物語③ 日清・日露戦争とビタミンB1

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こんにちは‼️
白米も麦ご飯も大好き
和食万歳・サプリソムリエ宮下です。

今日もビタミン発見の歴史について。

前回、
脚気の原因について

陸軍・東大・ドイツ医学チームの
森鴎外と

海軍・田舎大学・イギリス医学チームの
高木兼寛の

給食戦争（脚気論争）というものがあった
というお話をしました。

前回のお話はこちらから⬇️
『カレーライス誕生秘話と脚気』

高木兼寛は
麦ご飯や洋食を食べさせて
実際に脚気を治していました。

しかし当時はまだ
ビタミンというもの自体が発見されてなく。

洋食はたんぱく質が多いから
脚気が治る

といった主張をします。

それに対して東大の先生達は
脚気はバイ菌が原因。
白米で十分良い！
と主張しますが、根拠はありません。

そこに応援に駆けつけたのが
当時ドイツにまだいた森鴎外。

彼は自分の仲間である
東大の先生の理屈を応援するために
次のようなことを論文にして発表しました。

麦は栄養あるけど消化が悪いから
白米の方が良いに決まってるやろ

フォイト先生や
プフリューゲル先生（※１）
普通白米でも
たんぱく質足りるて言うとるぞ

コッホ先生（※２）も
脚気はバイ菌が原因じゃね？
って言うとるぞ

ルブネル先生（※３）の計算でも
白米でカロリー足りとるぞ

※１ フォイト、プフリューゲル…当時の有名な栄養生理学者。
どのくらいたんぱく質が必要かを提案した人達。ドイツ人。

※２ コッホ…結核菌、コレラ菌の発見者。バイ菌研究の神。ドイツ人。

※３ ルブネル…カロリー計算を考えた人。ドイツ人。

お分かりでしょうか？

森鴎外、スーパー権威主義なんです😱
そしてドイツLOVE❤️

実は自分では全く実験などはせず。
『あのすごい人が言ってるから間違いない‼️』
的な話ばかりする人なんです。

しかも、
脚気が実際治るかどうかは関係なく

ただ高木説を負かして
自分の仲間の陸軍・東大チームを応援したいだけ。

おまけに論文の中に
やたら高木の名前を出したり

ローストビーフ好きの
イギリス流の偏屈学者
（高木のこと）

とか書いたりめちゃくちゃ
勝手にライバル視したり
バカにしていました💦

超感じ悪いし
実際高木の方が脚気が治ってるので
普通に考えたら高木説の方を世の中は信じそうですよね。

ところが。

森鴎外は文章や表現の天才だったんです。

よくよく聞いたら
おかしいことを言ってるんですが
森鴎外が書くとみんな信じちゃうんです。

現代で言えばSNSで超強く
専門じゃないことでも影響力が半端ない
・中田◯彦さん
・Da◯Goさん
・ひろ◯きさん
・ホリ◯モンさん
みたいな人のイメージでしょうか。

陸軍や東大派閥では
森鴎外さんが言うんだから
間違いない。

みたいな空気になりました。

時は明治時代。
この時代、２つの大きな戦争がありました。

皆さんもご存知の日清・日露戦争。

海軍は高木兼寛の活躍もあり
パンや麦飯、副菜にお肉を出されて
脚気にかかる人はほとんどいませんでした。

海軍の脚気での死亡者はゼロ✨

問題は陸軍。実はこの頃

陸軍に入ったら
白米いっぱい食べれるよ‼️

という勧誘の仕方をしています。

兵士は
その時代、その時代に合わせて
若者にウケが良い誘い文句があるのですが

当時はそれが
銀シャリを腹一杯
だったんですね。

ちなみに現代の日本の
自衛隊や防衛大学の勧誘は…

萌えキャラです。

大丈夫か日本よ！？

しかし、現実にこれで
応募者が３割近く増えてるんです。

大丈夫か？と思った僕こそが
古い価値観で判断するおっさんだということでした😣

若者のニーズを知ることは大事ですね。。

さて、話を戻すと
当時の若者のニーズは白米。

なんと陸軍は
１日ご飯15杯食わしたる
という約束で勧誘をし、実際に食べさせます。

参考：農林水産省

ただ、高級品の白米をこんなに出したら
予算がなくなり

（ビタミン豊富な）副菜はあまりなかったようです。
白米ばっかりのすごい給食。

でも、森鴎外ら陸軍・東大組は

これで理論上
3大栄養素全部足りるからバッチリや‼️

洋食に負ける要素ない
パン食べるとかまじ非国民

と主張。

色々功績が認められ
日本初の医学博士の称号や
男爵の爵位を得ていた高木兼寛に対して

やーい、麦飯男爵ー

と言ってバカにする始末。

でもそれを
カリスマ森鴎外と東大チームが
言うんだから
みんなで高木とその食事指導をバカにしてしまいます。

そして運命の日清・日露戦争開戦。

日清戦争で陸軍は
戦死者約1400人に対して
脚気で死んだ兵士4000人。
なんと敵との戦いの３倍近い犠牲者を出します。

脚気で入院した人は約40,000人。

この時点で流石にヤバいと思った
陸軍の中間管理職の人達は
麦飯食べさせようと提案しますが

陸軍のお偉いさん達東大派閥は

「白米食わすって約束しとるし
三大栄養素は足りてるはずやから
海軍のマネとかせんでええ💢」

と断固拒否。

細菌原因説を捨てず
ひたすら白米をがっつり食べさせます。

結果、次の日露戦争では
脚気で死んだ兵士28,000人。

脚気にかかった兵士
250,000人。

数字は資料によって諸説あるのですが
決してケタを間違ってるのではなく
明らかに脚気での死亡者の方が多かったようです。

当時対戦国のロシアからは
（脚気の神経まひで）
日本の兵士は足がふらふらで
酒に酔ってるように見える
とレポートされています。

これだけ多大な被害を出した
陸軍ですが
大国ロシアに勝ったことで世の中が浮かれ
脚気のことはみんな気にせずにスルーしてしまいます。

戦後、臨時脚気病調査会
というものも作られましたが
なんと初代会長が森鴎外。

結局彼は死ぬまで
食事原因説を認めず

1922年、文豪としての地位を固めたまま亡くなりました。

対して高木兼寛は
今の東京慈恵医大や
日本初の看護学校を立ち上げ
「病気（の理屈）じゃなく病人を見なさい」
という言葉を残して1920年に亡くなりました。

ビタミンB1は1911年に
既に見つかっていましたが

2人の死後少し経った1924年に
日本はやっと
「脚気はビタミンB1不足で起こる」
ということを認めこの戦いは終わりました。

が、森鴎外や高木兼寛を始め
当事者のほとんどが亡くなった後だったので
日本では誰も高木が

栄養が足りないせいで脚気が起こった

と言っていたことを話題にせず

彼の名前や研究は
日本では最後まであまり有名になりませんでした。

しかし、海外ではめちゃくちゃ評価され

後に発見される数多くのビタミンの論文にも
名前が出てきており

『ビタミンの父』

と呼ばれています。

また、南極大陸の地名は
ビタミンに関わる人物の名前が
由来になってるのですが

高木岬

という場所があります。

もちろん由来は高木兼寛。
日本人で唯一名前がつけられています。

これはイギリスの地名委員会が
1952年に名付けたのですが
日本にその報告が来た時に

高木って誰ですか？

という風に皆わからなかったと言います。

さて、このストーリーから
100年経った現代。

実はいまだに同じようなことが繰り返されていると言われています。

先ほどのストーリーでは
森鴎外が悪者みたいになっていますが
多くの日本人が同じように権威主義で

新しいものを認められず
過去の常識にこだわり

身内を守り
プライドをかけて間違いを認めず

声の大きな人に流され
集団心理で多数派のいうことを正しいと思い
少数派をバッシング

最先端を行く人は
海外に引き抜かれてしまう

最近のニュースを見ると
栄養学以外でも色々な面で
そうだなーと思うことが多々ありますよね💦

栄養学もいまだその通りで
現在世界と比べて50年遅れ。

しかし実は
『栄養学』も日本発祥
だったということを
ご存知でしょうか？

次回はいよいよ
このシリーズのラスト。

『栄養学』のスタートと
ビタミンB1の発見についてです。

お楽しみに😊

続きのお話はこちらから⬇️
『栄養学誕生とノーベル賞を逃した天才学者』

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